読書会「写真集を読む『はな子のいる風景:イメージを(ひっ)くりかえす』編」(2023.7.9)

記録集『はな子のいる風景:イメージを(ひっ)くりかえす』の表紙。

自主企画として「写真集を読む」という読書会を実施しました。これまで私たちは美術館や街中などに出かけて鑑賞プログラムを行ってきましたが限定された場所ではなく、本などを囲んでどこでもお話しできる会を開きたいと思っています。今回はそのお試し企画として協力者に集まっていただきこの自主企画を開きました。

今回みなさんと囲んだ『はな子のいる風景:イメージを(ひっ)くりかえす』は、写真とテキストで構成されているとてもおもしろい作りの本です。本の題名にある「はな子」というのは、1941年から2016年に亡くなるまで吉祥寺の井の頭自然文化園にいた象のはな子のことです。はな子の前でいろいろな人が色々な時代に記念撮影した写真を、一般公募で集めたプロジェクトの記録集であり、写真だけでなく、写真の提供者のことばや飼育員の記録など、様々なテキストも載っていて、読み手にいくつもの入り口が開かれた本でもあります。

自主企画当日は、はな子と人々の写真、提供者が綴ったテキスト、飼育員が記した日記、などの本の情報は主に音声言語で共有しつつ、集まった参加者の経験や解釈が共有されました。記録、記憶、写真を撮ること、撮られること、写真に残ること、残らないこと、などなど、さまざまなトピックが語られてとても印象的で面白い会になりました。

今後も読みたい本や考えたいテーマを囲んでこうした会を開いていきたいと思います。一方まだまだ多くの本が目にみえる活字(墨字)のみで流通しており音声やテキストデータで読める機会が少ないという現状があります。そもそも書店での物理的バリアによって本を選んだり手に入れることが難しいという状況もあり読書のバリアフリー環境が整っていないという大きな問題があります。こうした問題もみなさんと一緒に考える場にしたいと思います。(スタッフ林)

 

【鑑賞作品】
記録集『はな子のいる風景:イメージを(ひっ)くりかえす』(武蔵野市立吉祥寺美術館)

主催 視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ

 

記録集の中の1ページ。象のはな子の前で女性が満面の笑顔を見せている写真の下に、はな子の生活の記録が数行書かれている。

スタッフのミーティング風景。モニターに画面を写しながら話し合っている。

記録集の中の1ページ。白黒の集合写真。小学生くらいの子どもたちと大人が60人ほどはな子の前に集まっている。記録集の中の1ページ。日記のような文章が書かれている。