川崎市市民ミュージアム「ベスト・セレクションー世界旅行に出かけようー」にてワークショップ(2016.11)

川崎市市民ミュージアムで視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップを実施するのは、今年度で3回目 でした。これまでの美術館の「福祉プ ログラム」という枠組みでワークショップを行ってきたが「参加者が主体的に作品の魅力を発見する」というコンセプトをうま く伝えられなかったという課題がありました。

そこで、そもそもこのプログラムのコンセプト についてスタッフと美術館学芸員とで擦り合せ「福祉プログラム」という名称は使 用せず展覧会とワークショップの内容に沿った「ことばで旅するコレクション」という名前を決めることになりました。

参加者みなさんワークショップを楽しんでくださり体験後のアンケートには感想を残していただきました。おもしろかったのは多くの参加者が正確な作品名と作者名を(鑑賞時にはお伝えしたのだが)記憶していないにも関わらず、作品の印象や解釈を明確に語っているところです。それぞれ のやり方で、目の前にある作品を「鑑賞すること」に向き合っていた様子がうかがえます。

アンケート抜粋

“本当に海外に旅に出て行っているような気分になれました。できれば、今回のチームのメンバーたちを自分の肩に乗 せてトークしながら美術館巡りしたいという気分です。”

“ある時代に共感できるように、自分をタイムトリップさせるような視座の重要性を実感しました。”

“当時の「ヨーロッパからみたアジア」がよく表現されていて興味深かった。”

上記のように展覧会のテーマである「旅」感が表れた感想も多くありました。参加者にとっての「旅」とは、物理的な距離を移 動することだけでなく時間を超えて想像したり視座を変える行為、も指しているのかもしれません。

【鑑賞した作品】

【ポスター】エール・フランス 東方・極東へ(リュシアン・ブーシェ)
【ポスター】日本国有鉄道(里見宗次)
【ポスター】北方急行(A.M.カッサンドル)
【写真】ニューヨーク イズ(小川隆之)
【写真】ニューヨーク シティ(リー・フリードランダー)