第18回文化庁メディア芸術祭にてワークショップ(2015.2)

2015年2月7日(土)14日(日)15日(日)、第18回メディア芸術祭にて2種類の美術鑑賞ワークショップを開催しました。

7日の「『Nyloïd』鑑賞ワークショップ~視聴覚障害者とともに」では視覚障害者、聴覚障害者をふくむ20名の方にご参加いただきました。鑑賞した『Nyloïd』は、動きと音によってつくられる音響彫刻という作品でした。鑑賞後には作家のCod.Actを交えてトークセッションを行い、より作品の深い理解をすることが出来ました。視覚的な情報、聴覚的な情報、そして鑑賞者の印象、感じたことを共有することは難しさもありました。 障害の種類によって会話の仕方、鑑賞の仕方は変わってくるものの、様々な人が共存しながら鑑賞できるということが分かりました。

14日15日の視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップには28名の方にご参加いただき、「アート」「エンタテインメント」「アニメ」「マンガ」の4部門の作品を鑑賞しました。 メディア芸術祭ならではのジャンルである「アニメーション部門」や「マンガ部門」には国内外からたくさんの作品が集まります。

ワークショップ後に「気に入った作品は?」と聞くと多くの人が短編アニメ2 作品「The Sense of touch」、「Man on the chair」を挙げていたのが印象的でした。リアルタイムで視覚表現が変化するアニメーションは言葉で鑑賞することは難しいかと思っていたのですが、参加した皆さんは「時間内に自分たちの言葉でやりとりする臨場感」も込みで作品を楽しんだそうです。

メディア芸術祭では毎年新しいジャンルや表現の作品を見ることが出来ます。参加者の皆さんが自分たちのやり方で作品を楽しんでいる様子をみて、作品だけでなく鑑賞者の側も変わり続けているのだということを感じました。これからも新しい鑑賞、新しい楽しみ方が生まれることを楽しみにしています。

主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会
photo : Chisaki Nakamura(7日)、中島佑輔(14日・15日)

【鑑賞した作品】
●アート部門
《センシング・ストリームズ―不可視、不可聴》坂本 龍一/真鍋 大度
《!Nyloïd》Cod.Act (Michel DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD)
●エンターテイメント部門
《Slime Synthesizer》ドリタ/エアガレージラボ(川内 尚文/佐々木 有美)
《Ingress》Google’s Niantic Labs (創業者:John HANKE)
《!のらもじ発見プロジェクト》下浜 臨太郎/西村 斉輝/若岡 伸也
●マンガ部門
《五色の舟》近藤 ようこ/原作:津原 泰水
《ちーちゃんはちょっと足りない》阿部 共実
《!どぶがわ》池辺 葵
●アニメーション部門
《The Sense of touch》Jean-Charles MBOTTI MALOLO
《Man on the chair》JEONG Dahee