「鑑賞ワークショップ&レシピ持ち寄り座談会」徳島県立近代美術館(2024.2.23-24)
2月23日(金・祝)、24日(土)に徳島県立近代美術館(徳島近美)にて、視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップと徳島近美のコラボ企画として「鑑賞ワークショップ&レシピ持ち寄り座談会」が行われました。徳島近美は「ユニバーサルミュージアム」として、誰もが楽しめる美術館をめざし様々な取り組みや鑑賞プログラムを行っている美術館です。私たちつくるワークショップは2015年に徳島近美にお招きいただき鑑賞ワークショップを行いましたが、今回はそれから9年の時を経て、満を持しての2回目の開催となりました。
鑑賞ワークショップは両日の午前中に開かれました。1回目(23日)は徳島近美のアートイベントサポーターの方々を含む参加者10名(視覚障害者、ろう者、車いす使用者含む)が参加し、ジョナサン・ボロフスキーの『スチール・ヘッド』(彫刻作品)、徳島ゆかりの作家である日下八光の『阿南の海』(絵画)、岡本信治郎の『ミノトールの死』(絵画)を鑑賞しました。今回の試みとして、参加者を2チームに分け、1作品目はAチームが会話しながら作品を鑑賞、Bチームはその鑑賞を外の輪から観察する、2作品目はAチームとBチームの役割を入れ替えて鑑賞、3作品目はチーム関係なく全体で鑑賞という形態をとりました。会話しながらの鑑賞も楽しいですが、それを外から眺める経験もまた、多くの気づきがあるという参加者の声が聞かれました。
2日目(24日)のワークショップでは、アートイベントサポーターの方々を含む9名(視覚障害者含む)が参加し、ジャン・シャオガン(張暁剛)の『ファミリー・ポートレイト《全家福》』(絵画)、バリー・フラナガン『ニジンスキーの野兎』(彫刻作品)、岡本信治郎の『ミノトールの死』(絵画)を鑑賞しました。1日目と同様、2チームに分かれて会話しながら鑑賞すること、それを観察することの両方を体験しました。
両日の鑑賞ワークショップとも、作品を囲んでいる時間を楽しむだけでなく、鑑賞が終わった後もじわじわとその経験について考えたくなるような、そんなワークショップでした。参加者の中には2015年の鑑賞ワークショップがきっかけで美術に目覚めた、美術館に行く楽しみを知った、という方もいらして、お互いに今までの歩みを感じつつ、一緒に作品を鑑賞する楽しみを再確認できたワークショップになりました。
また1日目の午後に開催された「レシピ持ち寄り座談会」では、双方がそれぞれどのようにプログラムを作ってきたかの概観と、そのプロセスをあらためて振り返りながら、徳島近美学芸員の竹内さんと元学芸員の亀井さん、当団体から林と衛藤が登壇してトークセッションを行いました。座談会には今回のワークショップ参加者に加え、徳島県内外で対話鑑賞プログラムを実践している、あるいは実践を検討している方々や美術館関係など、多くの方にご参加いただくことができました。休憩時間や座談会後も情報交換をしたり感想や意見を交わす姿が見られ熱気が伝わってくるとともに、それぞれの「これから」につながる2日間だったことを強く感じました。座談会の模様も追ってアーカイブサイトにアップしていく予定ですので、ぜひご覧になってみてください。
【レシピ持ち寄り座談会の当日の配布資料】
【ワークショップで鑑賞した作品】
(2月23日)
1. ジョナサン・ボロフスキー『スチール・ヘッド』
2. 日下八光『阿南の海』
3. 岡本信治郎『ミノトールの死』
(2月24日)
1. ジャン・シャオガン(張暁剛)『ファミリー・ポートレイト《全家福》』
2. バリー・フラナガン『ニジンスキーの野兎』
3. 岡本信治郎『ミノトールの死』
主催:ムギちゃん村実行委員会
協力:視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ、徳島県立近代美術館、徳島県立近代美術館アートイベントサポーター