東京都写真美術館 「TOPコレクション 何が見える?「覗き見る」まなざしの系譜」展でワークショップ(2023.10.8)

展覧会「TOPコレクション 何が見える?「覗き見る」まなざしの系譜」のポスター。

2023年10月8日東京都写真美術館「TOPコレクション 何が見える?「覗き見る」まなざしの系譜」展でのワークショップを実施しました。参加者7名、美術館の学芸員さん、インターン生、他の美術館の見学の方、も含めて様々な作品や資料を見ながら語り合いました。

今回の展覧会「TOPコレクション 何が見える?「覗き見る」まなざしの系譜」の特徴は、通常の展覧会とはちょっと違って作品以外の資料展示が多いところでした。18世紀から現代まで人間が抱き続けている「見たい」という欲求を叶えるために作られた様々な「覗き見る」装置が展示してあるところです。

1、作品だけではなく、カメラや映画の原型となったような大昔の装置を鑑賞する
2、それらの装置を「覗きこむ」「スイッチを入れる」などの鑑賞者の行動を促すような
体験型の展示が多い

以上の点で今までの鑑賞ワークショップとはちょっと違うパターンの展示でしたが体験型の展示をどんなふうに言葉にしていくかは参加者が全員が言葉に迷うほど難しいけれど工夫しがいのある体験でした。

特におもしろかったのは《ピープショーの木製箱》(オランダ製)1740年頃を見た時です。この装置は木製の木箱の中に小さな部屋が設えてあって木箱の横の穴からレンズ越しに覗き込むとまるで小さな部屋の中に入り込んだような没入感を感じて見えるという装置です。ピープショーと呼ばれるこの装置の没入感は写真も映画もなかった時代の人たちを惹きつけたそうです。

現代の私たちもそれを見て言葉で共有しようとしてみるのですが
ある人は「木製の古びた木箱があって…」と外側の説明をしようとして
また、あるひとは「部屋の中には蝋燭が灯してあって」と没入した中の部屋を説明して、
現実の光景を見ている人と、非現実的な光景を見ている人が入り乱れ
それを聞いた目の見えない人は、今話されているのは美術館の展示室の話なのか架空の小さな部屋の話なのか、よくわからなくなるというかなり混乱した会話が繰り広げられることになりました。ピープショーという幻を見る装置をとてもよく表していて楽しい体験でした。

【鑑賞した作品】
1、作家不詳《ピープショーの木製箱》(オランダ製)1740年頃
2、作家不詳「影からくり浮絵 隅田川高尾つるしぎり」江戸時代末期
3、ステレオ写真群 慶応から明治期
4、オノデラユキ《no1》〈camera〉より1997年
オノデラユキ《no3》〈camera〉より1997年
オノデラユキ《no5》〈camera〉より1997年

主催:東京都写真美術館