東京都写真美術館 「アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真」展にてオンラインワークショップ(2022.7 )

2022年7月10日と30日に東京都写真美術館「アヴァンガルド展」でオンライン鑑賞ワークショップを開催しました。

今回のワークショップは、1930年代から1940年代までの間に全国各地のアマチュア団体を中心に勃興した写真をオンラインで鑑賞するものでした。目の見える方・見えない方を交えたオンラインの空間で、合計12名の方と前衛写真をみて、「目にみえるもの」「目にみえていないけれども、自分にはこういう風に『みえる』もの」など、様々な言葉・経験を持ち寄って鑑賞する時間となりました。

特にたくさんの話題が出たのは、平井輝七の『風』でした。この写真は「木製のドア」「カーテン」「エッグスタンド」など画面内に写っているのは日常的なものなのですがそれぞれの配置が謎めいていて不思議な魅力を感じる写真です。「作者は一体どんなことを考えてこの構図にしたのだろう。」「適当においたわけではなくて、意図して​​こんな配置にしてるんですよね」など。改めて言葉にしてみると、写真に写っていない作者の存在の話に発展し、多くの言葉が参加者の間で行き交う時間になっていました。

同展覧会で2回のワークショップを実施しましたが、同じ作品を扱っても、ナビゲーターによって対話の切り口が変化したり、参加者の皆さんの言葉が変化したりと、私たちにとっても新たな発見のあるワークショップになりました。 (スタッフ 濱松)

 

【鑑賞作品】
《風》1938 平井輝七
《疲労感〈泥酔夢〉より》1936 小石清
《ネギの花》1937 安井仲治
《イーヴ》1940 中山岩太
《帰らぬ舞台》1935-1940 後藤敬一郎
《東京 浅草 浅草寺歳の市<市の音>より》 1939 濱谷浩
《静謐〈半世界〉より》1940 小石清
《月の夢想》1938 平井輝七
《葉脈とカニ、トンボ〈博物志〉より》1938 恩地孝四郎

主催 東京都写真美術館