UBEビエンナーレ 彫刻の丘で音声ガイドをつくる授業(2019.10))

2019年10月〜11月にかけて、山口県宇部市で小学校6年生の授業「彫刻の丘で音声ガイドを作ろう!」を行いました。山口県宇部市は1960年代から、彫刻と町、彫刻と人がつながることに力を注いできた町です。町なかで、公園で、いつも彫刻に親しんでいる地元の見初小学校6年生と共に彫刻を楽しむ音声ガイドを作る授業を行いました。この授業は2019年に開催された野外彫刻の国際展「第28回UBEビエンナーレ」の中でUBEビエンナーレ事務局、見初小学校、視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップが協働して授業の準備から実施を行いました。 4日間の授業の様子を紹介します。

「彫刻の丘で音声ガイドを作ろう!」の流れ

day1
「見えること見えないことについて考える」 最初の授業では自分たちの身の回りにある「見えること」と「見えないこと」を考えてあげてみることにしました。身近な見えることは「机」「黒板」「人の顔」などなど。見えないことは「人の気持ち」「声」「音」などなど。難しかったところでは「言葉」「幽霊」「地球」などなど。それらは見えてると言えるのか、見えてないのか、みんなで考えました。この時間の目的は身の回りのことを全て2つに分類することではありません。普段、なにげなくしている「見る」という行為を捉え直すことから授業がスタートしました。

day2
「彫刻の丘でおしゃべり鑑賞」 とても暖かい秋晴れの日、4つのグループに分かれて彫刻を鑑賞しました。各グループの鑑賞時間には目の見えないナビゲーターの白鳥さんと林が混じりながら1作品20分~30分くらいかけて「見えること」「見えないこと」を言葉にしながらじっくり鑑賞します。時折、目の見えない白鳥さんから「どんな風に見えるの?」「なるほどなるほど」といった質問や相づちも挟みながらワイワイと会話が進みました。方言交じりの言葉や、ちょっとしたつぶやきなど、言葉にならない言葉も録音しました。

day3
「会話を編集して、読み練習」 day2の会話を印刷された文章を読みながら各グループごとに音声ガイド台本の編集をしました。音声ガイドとして残したいところを自分たちで相談して決め、いらないと思ったところをカットする作業をしました。編集し終えたら声に出してみます。自分たちの会話を編集して自分の声で読んでみる。それは自分の経験を自分で演じ直す行為でもあります。読み練習はとても楽しい時間でした。

day4
「放送室で録音して発表」 最終日は放送室での録音を経て最終的なゴールである各グループが作った音声ガイドの発表です。day3で書き上げた台本を握りしめながら各グループが放送室で録音しました。やや急ぎながらの発表会になりましたが自分たちの声で話される音声ガイドをクラスのみんなに聞いてもらいながら授業は終了しました。

※なおこの授業の詳細は記録リーフレットにも記されています。リーフレットはときわ湖水ホールで配布中。

 

【鑑賞作品】
三宅 之功 《はじまりのはじまり》
黄 裕栄《ドリームキャッチャー》
佐藤 慈男 《重力推進 ー 石舟》
仲田 守 《ク・ラ・ゲ・だぞー》 平田茂《夢枕》

【記録冊子データ】
彫刻の丘で音声ガイドをつくろうPDF版

主催:UBEビエンナーレ事務局
協力:宇部市立見初小学校、視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ