映画を断片的に見るワークショップ 「映画らしさってなんだろう vol1 駅馬車編」(2019.9.29)
2019年9月29日にユニバーサルシアター、シネマチュプキタバタ(東京都北区)にて、映画鑑賞ワークショップ「映画らしさってなんだろう vol1駅馬車編」を行いました。 このワークショップは「映画「駅馬車」を見てから参加するのがオススメです!」として、映画を見た方々に参加してもらいました。参加者の顔ぶれは、視覚障害があり音声ガイドを使って鑑賞した人、晴眼者で音声ガイドを時々使った人、昔、見たことがある人、駅馬車を見たことがない人、などなど同じ作品をめぐって少しづつ異なる鑑賞経験を持つ方々でした。
映画というメディアはいったん始まったら止まることはできません。流れる「時間」がその特徴です。そして、視覚障害者が映画を鑑賞するため音声ガイドも時間軸に沿って進む構造を持っています。しかしこのワークショップでは、映画らしさって何だろう?を考えるために、気になるシーンを止めてじっと見つめたり、何度もリピートしてみたり、時間軸に従わないで映画内を自由に行き来して複数の人が話をしました。
そこで話されたのはストーリーについての感想だけではなく、私たちは画面の中に「何をみているのか」というお話です。もちろん視覚障害の参加者にも音声ガイドを活用しながら、そのシーンで「何を経験しているのか」という意味で「何をみているのか」という会話に参加してもらいます。複数の人と話すことで少しづつkさなり合う解釈や新たに発見されるディテールがありました。 例えばこの日は、 晴眼者の参加者が音声ガイドを通して見ることで 本編のセリフにも音声ガイドでも言及されていない、ある人物のとてもとても小さな仕草が発見されたことについてのお話がありました。その方にとっては音声ガイドを聞くことは他者の見方を知ることであり、他者の見方を通して自分自身の見方で細部を発見したという経験でした。他には、映画の終盤で「ショール」が手わたされることにどんな大きな意味があるのかと言うお話などもありました。断片的に見ればただの品物の受け渡しに見えもする行動が映画の中ではどんな意味を帯びるのか、そんなお話でした。その他にもたくさんのポイントについて話が及びました。映画の可能性、音声ガイドの可能性がかいま見えるワークショップとなりました。 (スタッフ林)
【鑑賞した作品】
映画「駅馬車」
主催 シネマ・チュプキ・タバタ