東京都現代美術館「MOTコレクション」展にてワークショップ(2016.1.31)

2016 年 1 月 31 日、東京都現代美術館「MOTコレクション」展にて視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップを開催しました。この日のワークショップには初参加の方が多く、静岡からご参加された方も。ラジオの取材も入り、賑やかな雰囲気の中で19名の皆さんと一緒に鑑賞をしました。

錆びたカン箱が整然と塀のように積み上げられた立体作品《死んだスイス人の資料》(クリスチャン・ボルタンスキー)を鑑賞中、参加者の皆さんは目に「みえること」と「みえないこと」を何度も語りながら、作品から漂う「死」の感覚がどこからやってくるのかを丁寧に探っていきました。会話を続けていくことで自然と、「私たちは何をみているのか」そして「何をみていないのか」という問いが浮かび上がってきました。

また、セーラー服を着た一つ目の少女たちが列車に乗っている不思議な絵画作品《円環列車 A(望遠鏡列車)》(中村宏)では、絵画の中央に大きな球体が描かれているにもかかわらず、なぜかその球体に話が及びませんでした。明らかに認識しているものをなぜか誰も言葉にできなかった、という不思議な出来事についてみんなで話し合いました。 「みること」と「言葉にすること」の間には私たちが思っている以上に複雑な関係性が潜んでいそうです。そんなことを考えたワークショップとなりました。

【鑑賞した作品】

《死んだスイス人の資料》クリスチャン・ボルタンスキー
《without records-mot ver. 2015》大友良英+青山泰知+伊藤隆之
《定規》《赤青鉛筆》豊嶋康子
《川につく前に橋を渡るな》フランシス・アリス
《とめどない話》《夜に描く絵》関根直子
《joint(ball)》《ball sheet ball》冨井大裕
《円環列車 A(望遠鏡列車)》中村宏

写真:《without records-mot ver. 2015》(大友良英+青山泰知+伊藤隆之)を鑑賞している様子 撮影:中島佑輔