東京都現代美術館「MOTコレクション 私たちの90年:1923-2013 残像から-afterimages of tomorrow」にてワークショップ(2013.4)

2013年4月21日(日)あいにくの雨の中でしたが、東京都現代美術館「MOTコレクション 私たちの90年:1923-2013 残像から-afterimages of tomorrow」にて「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」を実施しました。 参加者は18名。1グループ9名づつ(ちょっと大所帯)で展示室を周りました。美術館のご協力のもと、広い展示室内を自由に言葉を交わしながら鑑賞ワークショップを行うことができました。

今回のMOTコレクション展は、テーマ性が強く、多くの作品が戦争や震災をモチーフとしていました。 ある視覚障害者の参加者のかたから 「戦争などの重々しいモチーフは好みの作品ではない…」という声があり、 ちょっと予定を変更して他の作品を見て頂く時間も設けました。 美術作品は(特に現代美術では)誰にとっても心地よい作品ばかりとは限りません。 自分好みの作品を選んで鑑賞するというのが美術を楽しむ醍醐味の一つなのかもしれません。 しかし、視覚障害者の方にとっては好きな時に好きな作品を選び、観に行くという選択肢はまだまだ少ないようです。 今回このワークショップで好き嫌いを感じて頂けたことは大事な選択の一つではないかと思っています。 これから少しづつそんな選択肢を増やしていけたらと思います。

そして今回はワークショップ終了後に参加者の方に東京都現代美術館のギャラリートークをおすすめしたところ、 何名かの方がギャラリートークにも参加してくださいました。 言葉を交わしながら鑑賞する「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」のスタイルと、 レクチャー形式で時代背景、作家の意図を知るギャラリートーク。どちらも作品の魅力に近づくアプローチの一つだと思います。 様々な鑑賞方法を選ぶことが出来るのも美術を楽しむ大事な選択肢ではないかと思います。 今回はそんな形で美術館と恊働出来たことが小さいながら嬉しい一歩でした。

【鑑賞した作品】
「層の機」手塚愛子 2008
「重い手」鶴岡政男 1949
「涸れた泉」杉全直 1944-46
「大正12年9月1日」鹿子木孟郎
「美しい旗(戦争画リターンズ)」会田誠 1999
「たまゆら(戦争画リターンズ)」会田誠 1999
「制御室」トーマス・デマンド 2011
「絵画M2~M6」鴫剛 1978
「240個の石膏の代用物」アラン・マッカラム 1982-1989
「録画した瞬間それは覗きになった」竹内公太&「ふくいちライブカメラを指差す」指差し作業員 2011
「フォントヴロー」「ジュネーヴ」「メッツ」「メッツ」ジョルジュ・ルース 1984-1994
「Little Trouble Girl」森千裕 2010
「グロリア(よど号ではない/天然無常KEIJI丸)」O JUN 2010

主催:視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ