東京都写真美術館 「TOP コレクション 光のメディア」展にてオンラインワークショップ (2022.3.21)

2022年3月21日(月祝)と27日(日)に東京都写真美術館「光のメディア」展にて「インクルーシブ鑑賞ワークショップ :見るときどき見えない、のち話す、しだいに見える」を一般向け、学生さん向けそれぞれオンラインにて開催しました。

21日一般向けの回で印象的だったのは、《マーサ・グラハム、世界への手紙、キック》という写真を見ていた場面です。写真を視覚的に見る人、言葉で捉える人、参加者それぞれの見方を持ち寄って話していくうちに、写真の中に現れている「静的」な要素と「動的」な要素が次第に顕わになっていった場面でした。言葉にすることで一人のダンサーが踊る写真の中に「静と動」という正反対の要素が共存していることがわかってきて写真の不思議さをみんなで共有した時間でした。

27日学生さん向けの回では、写真について鑑賞することもワークショップ参加も初めての方が多く、最初は、みなさんとても緊張されていました。今回、取り上げた写真は、どれも年代が古く、モノクロ写真だったりして、スマートフォンで簡単に撮れる写真とは大きく異なる形態ではありましたが、彼らの感覚で言葉を丁寧に選びながらじっくりと時間をかけて表現されていて、新しい発見が多くありました。

私が印象に残ったのは、目の見えない参加者の方が、写真に対して苦手意識を持ちながら今回のワークショップに参加されて、最後の振返りの感想では、言葉を通しての鑑賞経験から、「写真がすきになった」と発言されていたことです。現実を切り取った写真は、視覚に訴える面が強く、それを説明する言葉選びに難しいさがありますが、学生の参加者の皆さんは各個人の経験に基づいて真摯にイメージを立ち上げているように思いました。学生さんだけの限られた年代だからこそ、お互いの認識を共有している場面もあり、いつもの(年齢層の幅広い)ワークショップとは異なる対話もおもしろかったです。 (スタッフ永尾、林)

 

【鑑賞作品】
《マーサ・グラハム、世界への手紙、キック》バーバラ・モーガン 1940
《植物の葉》「自然の鉛筆」より ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット 1844
《月の出、ヘルナンデス、ニューメキシコ》アンセル・アダムス 1941

主催 東京都写真美術館